“凄い”
と思ったその理由を後で考える様な最高の第一印象。

脊髄が反射して思わず見てしまうというような、誰でも分かるような作品。
『透明標本』

もともと生きていた「小動物」を透明にして骨格を見せるという「透明骨格標本・透明二重染色標本の手法を用いて、作品『透明標本』を作成しています。
いままで誰も見た事の無い世界観をつくりあげるという、まさしく科学がアートに昇華したようなとても美しい作品です。

「ざっくばらんに何でもきいてください。」
と最初に屈託の無い明るい挨拶を投げかけてくれた「冨田伊織」さん。
裏表が無く「好青年」という印象を抱きます。

「見に来てくれた人達に、シンプルに凄いものを見たと思って貰えれば嬉しいです。」

と、元気に話す顔には「正直」と「やんちゃ」という文字が張り付いていて、決してうまく話そうとはしていないんです。

とにかくずっと楽しそう!

こんなに分かりやすい作品を作った作家さんは、やっぱりものすごく「わくわく」する様な人だった。

冨田伊織

1983年生まれ。
2006年3月 北里大学水産学部水産生物科学科卒業
北里大学水産学部在学中に、研究用の透明骨格標本に魅せられ独自に制作を開始。卒業後上京、一般企業に就職するも岩手県に戻り、漁師見習いをしながら透明標本制作を続ける。

2008年5月、デザインフェスタVol.27にて新世界『透明標本』として参加。その独特の世界観で一躍脚光を集める。以降、透明標本作家として現在に至る。

現在は各種展示会をはじめ、写真集出版、講演会と透明標本をテーマに活動の場を広げ、日本国内はもちろん、世界中で注目を集めている。

やっぱり自分が作った良いものは、他の人に見せたくなるじゃないですか。

tomita02 ーー透明標本に行き着いた経緯をお教え願えますでしょうか。

冨田 そもそも「透明標本ってなに?」っていう方が多いと思うのですが、「透明骨格標本」だったりとか「透明二重染色標本」というのが正式名称なんです。
これは、小さい生き物の肉を透明にしたり、骨に色を付けたりして、骨格を調べるために半世紀前ぐらいから作られた手法です。

なので、海洋生物学者の方々にとっては、実はかなりオーソドックスな物ではあるんですよ。

ぼくはもともと、岩手県にある北里大学水産学部で勉強していました。その講義中にこの「透明骨格標本」を手にする機会がありまして、そのときに、

「えっ、なんだこれは!これがサカナなの!?」

とびっくり仰天しまして。 その出会いがあってからはずっと僕の頭の中をぐるぐると回っていて、もう欲しくて欲しくてたまらなくなってしまったんです。

でも、どこにいっても手に入らないものだったので、「その透明骨格標本が作れるかもしれない」という研究室に入って教えてほしいってお願いしたんです。

だから、もう自分が欲しかった。というのが最初の動機ですね。

僕が一番欲しい物を自分で作りたかった。

ーーでは、今ここに並んでいるのはそのとき授業で見た物より、さらに欲しいものに近づいていると。

冨田 そうですね。液の濃さだったりとか、時間の掛け方を工夫してますね。

研究用に作られた標本は、ものの数日〜数週間で作るんです。
そして基本は骨が見えればいいものなので、いわゆる「半生」状態が多いです。

肉がそのまま残っている状態でもOKなんですよね。時間をかけていたら研究には成りませんから。

ただ僕が作成しているものは小指の先ほどの小指の先ほどの小さな作品でも半年近くかけるんです。

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ーーではこのやり方は、冨田さんのオリジナルという形ですかね。

冨田 元の技法はあったので、完全にオリジナルというわけではないですが、行き着く先が「研究の結果」が欲しい訳ではなく、「作品の美しさ」のための技法になっています。

やっぱり自分が作った美しい物は、他の人に見せたくなるじゃないですか。
そこの美しさを追求していったらこうなったという感じです。

ーー水産学部に入られたきっかけ自体は何だったのでしょうか。

冨田 「魚」が好きだったからですね。以上です(笑)

ーーそんなに明確に(笑)

冨田 そうですね。魚と海が好きだったから、という。

ーーまさしく「さかなクン」のような。

冨田 魚の知識は全く及びませんが(笑)実は学術的な知識というのはそんなにもっていなくて、作品自体は感覚的につくり始めたものです。

でも、「自分が欲しい」から「人に見せたい」を経て、それが今は「生業」になっているので意識自体は変わってきていると思います。

ただ、その過程で僕がずっと持っているのは「生き物が好き」という気持ちです。

どうやったら人に「スゴい!」と思ってもらえるか。

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ーー制作のプロセスをおしえていただきたいのですが。

冨田 まずは、標本のもとになる生物を手にいれたら腐らない様に、一度保存液につけ込みます。

その後で、軟骨が青くなる様な薬剤があるんですが、それに標本をつけ込むんです。

次にタンパク質を分解する薬剤につけて「透明っぽく」する。

見た目上、「肉」がなくなってみえるんですが、肉自体はついているんです。
肉が分解されて、でも最初の保存液のおかげで編目上に微かに残る。

これが「透明」にみえる状態になります。

ここから硬い骨が赤紫になるような液につけたり、仕上げの透明作業をしたりして完成となります。

ーー標本によっての色の違いはどのようにしているのでしょうか。

冨田 実際、魚の種類によって違うというか。
その生物の骨などがもつ成分によって、青くなったり赤くなったりしています。

そういう事もあって、全くうまくいかないときもありますね。
たとえば、今まであったのが「淡水性のエビ」は着色されないことがありましたが、「海水性のエビ」は結構うまくいくとか。

甲殻類は同じ種類でも脱皮後と脱皮前で色合いが大きく変わるのが面白いです。

ーー毎回、発見がありますね。

冨田 そうですね。そこが楽しいところでもあります。

驚きが多いというか。その生物だけの特性があるので、予想しなかった形に出来上がることも結構あります。

そもそも透明標本になりにくい種類もありますし(笑)。

僕はこれをやり始めてから10年近く経つんですが、ようやくやっと満足できる物が出来始めたというか。

ただ、きれいなだけじゃなくて、「見せ方」を考えるようになってきたのかもしれません。 どうやったら人により「生き物はすごい!」と思ってもらえるかを考え始めたというか。

ーー前例が無い物ですからね。

冨田 そこが難しくもあって、でも最高におもしろいところでもあります。

見せる人にとっての「礼儀」は大事にしていきたい

冨田 もともと僕は研究の世界にいた人間だったので、「標本」はあくまで標本、理化学の分野でしかないという頭もありました。始めた当初はなかなかその考え方の呪縛から離れられなかったんです。

ただ、今の生活をしていくうちに、実際に自分が作っているものが自分では予想もしなかった形で評価されていきました。

それから、作品の見せ方について考え始めました。光の照らし方とか。ケースの形とか。

自分視点の価値観を毎日壊し続けている感じですかね。

なので、作品を「作る」事はもちろんですが、それと同じ暗い、過去の自分の価値観を壊し続けて今がある、という気持ちがあります。

ーー自分の「透明標本」についてアートを制作しているという感覚はありますか。

冨田 いやぁ〜、そういうのはあまりないんですよね(笑)。

その世界を見たのが今から5年前なのですが、「アート」という世界を見ても全然ピンとこなかったというか。

そもそも海で釣り竿や網を振り回している様な生活でしたから、その発想すら無いものでした。

僕が人生で始めて美術館やギャラリーに行ったのも27歳の時なんですよ。

でも、ボクの周りの人がそういうふうにみてくれて、スゴいと言ってくれた方が沢山いて、それで自分も「じゃあ自分も見てみたいな」と、自然とそうなっていったという感じです

ただ、元々はやはり生き物の標本がルーツですから、つたないながら、見てもらう場所や分野での「ルールと礼儀」のようなものは大事にしていきたいと思っています。

自分が作った「透明標本」が人に不快感を抱かせない様な形にしたいと。

生物分野でいう、その環境に「適応」する形を少しずつ目指せればと思っています。

ーー作成する上で苦労している点はありますか。

冨田 やはり、もともと生きている物を「透明」にまで持っていくものですから、それなりの行程をたどります。僕はもはや気になりませんが、臭いとかは凄いものがあると思います。

あとは元々小さな生物の、例えば鱗なども全て綺麗に取りたいと作っていますから、細かい作業を延々とこなすのは、かなり気力がいるかもしれません。僕はそのあたりにも適応能力があったので出来たんだと思います()

後は、やはり自分で作っていて健やかな作品を作りたいなという気持ちはありますよね。

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素材が素材ですから考える事も多々ありますが、素材となる生物に感謝と敬意を払って、その上で自分が満足いく作品にを作り上げたい気持ちは常にあります。

 

ーー標本のもとに成る素材はどのように手に入れるのですか。

 

冨田 今僕は三浦半島の葉山というところに住んでいるのですが、多くは近くの漁師さんや漁協の皆さんに頂いています。親切な方ばかりで、応援下さって、とても感謝しています。その他魚屋さんなどで買う物もありますし、ペットショップで死でしまった生物を頂いたこともあります。

 

ーー普通に遊びでも魚に頻繁にふれあっているみたいですね。

 

冨田 そうですね。小さいころから魚採りや釣りが大好きで、いまでも作品作りと並ぶ、僕のライフワークです(笑

 

あとは「素潜り」も好きです。陸上の空気を吸った分だけ、水中にお邪魔出来るという感覚が好きですね。家からこの場所からもすぐに行けますし。

 

実はこの場所(葉山)に来るきっかけは、最初にココで展示をしたのがきっかけなんです。

 

目の前が漁港で僕の作品が飾れるなんて、なんて良い場所なんだろう。と思いまして。

 

自然が豊富にある中でこの仕事ができるのは本当に幸せな事ですよ。

<第一回 終>

2014.7.16発売の「写真集[新世界]透明標本2」も絶賛発売中。

新世界 透明標本の詳しい内容はこちら>http://www.shinsekai-th.com/