先日、友人宅のちゃぶ台を囲んで酒を酌み交わしていた時です。

その中にいた友達が「今日、友人に貸していた大事な本が戻ってきた」と大きなハードカバーの本を僕たちに見せてくれました。

その本は岩波書店から出版されていたミヒャエル・エンデ著「はてしない物語」。
映画の「ネバーエンディング・ストーリー」の元になった作品でもあります。

特筆すべきは、その装丁のすばらしさ。
真紅の布で覆われた思わず手で摩りたくなる美しいハードカバー。

本を開くと各ページ上部に施された飾り枠。
そして二色刷りされた美しい明朝フォントの文字と、挿絵の描き込みの精緻さ。

本の作り手の物語に対する愛情がひしひしと伝わってきます。

思えば、最近は「タブレット端末」や「電子書籍」が世間に流通し、紙の代わりに「画面」で読むことが圧倒的に増えました。

利便性を考えれば大変よくなりました。
かさばらず、劣化せず、軽い。

ただ、この「はてしない物語」を手に取った時に、本は「情報」を得るだけのものではなく、「宝物」として持っておきたいと幼いころに感じていたことを思い出しました。
その重い美しい本を持っていること自体が嬉しい。

そういえば、箱入りの本を開いた時の紙とインクが混じった匂い。
あれも好きだったなぁ。

本は思ったよりもずっと「感じる」ものなのかもしれません。

oasis_sk

『ARTYOURS』のウェブ担当。
現在は、制作会社のデザイン課長。


大学ではスケボーをしながら表千家茶の湯同好会に所属。さらに学芸員の資格を取得するというやりたい事はとりあえずやってみる主義。

お店で日本酒を注がれている瞬間が最近一番の幸せ。