すっかり春になりました。
朝、通勤時に緊張と不安とちょっとした決意がないまぜになったような顔の新品のスーツに身を包んだ「社会人一年生」を目にすることも徐々に増えてきましたね。

そういう方が出てくる時期には何かとお酒の席も増えます。

お花見、歓迎会、決起会。

乾杯に継ぐ乾杯。
電車の中の宣伝も、「ウコン」や「トクホ」飲料で埋め尽くされています。

その中で毎回儀式的に行われるのが、「お酒を注ぐ」ということ。
日本ではこの他人に「注ぐ」という行為をものすごく大事にしているのではないかと常日頃感じているのです。

例えば、神道系の結婚式。
そこで交わされる「三々九度」なんかも夫婦の親類一同が結束を固める大切なお酒を「注ぐ」行為です。

また、一般的な呑みの場でも、日本酒に限って言えば「とっくり」から小さな「猪口」へ注がれます。
こんなに小さな「酒器」は他の国を見てもなかなかないでしょう。

そもそもあんなに小さな猪口にお酒を注ぐにはそれ相応の機微が必要になってきます。

会話や食事のタイミングを見計らって、
こぼれないように、かといって少なくてもいけない。
相手に対しての心遣いがないと結果的にはいい注ぎ方はできない。

お酒を注ぐことで、自分以外の他人を思いやる。
「注ぐ」が自然とできるようになるのが、大人の階段を上るということなのかも…。


と大層なことを書かせていただきましたが、私は手酌も好きです。
こっちはいうなれば、自分へのご褒美ですよね。

oasis_sk

『ARTYOURS』のウェブ担当。
現在は、制作会社のデザイン課長。


大学ではスケボーをしながら表千家茶の湯同好会に所属。さらに学芸員の資格を取得するというやりたい事はとりあえずやってみる主義。

お店で日本酒を注がれている瞬間が最近一番の幸せ。