「撮りたくなる選手というのは、ボールを持った時にものすごくしっくり来る選手ですね。そういう選手は大体、上手い。」
と言っていたのは、この前イベントでお話をきかせて頂いた、サッカーカメラマンの今井恭司さんです。
40年近く、サッカー日本代表の写真を撮りつづけ、あの“KING”カズこと、三浦知良選手に「サッカーカメラマン日本代表」と称されているベテランカメラマンさんです。


「カメラマンというのは瞬間を切り取る職業であるので、いつも良い絵がとれるとは限らない。
毎試合必ず良い写真を撮らせてくれる選手は大体ボールを持った時のフレームへの収まりが良い方が多い。
ボールがもともとそこにあったような安定感と安心感。
不自然を感じさせない、バランスの良さが決めてである。」
とのことでした。


ナルホド。これは、他の事にもいろいろと思い当たるフシが沢山あるぞ。と感じました。


たとえば、
皆さんおなじみの、Apple社の「iPhone」。


私も使っているのですが、「スケジュール管理」に「地図案内機能」に「カメラ」に「電卓」に、もちろん他人との連絡も「メール」で行います。
そして説明書は一度も開かず、何となく使いこなしている自分がいます。


新しいはずなのに、前からあったかのように生活になじむ。


Apple社の鋭く、そして何度も研鑽を重ねて来た「人間観察」の妙。
そういうのを全く感じさせずに使わせる所に「すごみ」を感じます。


そしてそのことについて、TVCMなんかでも一切主張してこない粋な姿勢。
複数カラー展開した新機種のキャッチコピーも、


「この色は、あなたです。」


機能の説明は一切せずに、
ただ親近感については他の商品よりも群を抜くようなこの一行。
「マイッタね…もう。」という感嘆の吐息しかでません。


もちろん「なじみ」のあるモノだって負けてはいません。
私が、つねづね「スゴい」と感じているのが、「缶ビールのプルタブ」。

あの開けるときの重からず、そして軽くない指への負荷。
「プシッ!...カパッ」という、宴の始まりを告げる音。
そしてその口から待ってました!と飛び出してくるふわっとした気泡。

全てが自然なのですが、全てに凄みを感じます。

なにやら下世話な話しになってしまいましたが….
要するにデザインに関して「しっくりくる」という感覚は最近とても大事なことであると感じるのです。

人間の意識とは違う所。
意識させない「美意識」と言うモノが人間の歴史の中で無意識に好まれてきたのではないか。

そういうものをどうやってつくりだしていくか。
その手法を考えるのが「デザイン」というものなのかもしれませんね。

oasis_sk

『ARTYOURS』のウェブ担当。
現在は、制作会社のデザイン課長。

大学ではスケボーをしながら表千家茶の湯同好会に所属。さらに学芸員の資格を取得するというやりたい事はとりあえずやってみる主義。

来年の2月の阿波踊り合宿にむけて、冬将軍や忘年会に負けず走り込んでおります。